コーノ式フィルター虎の巻⑭名門と名門と名人

コーノ式名門円錐フィルターです。
写真は、すべて名門です。
何年か前から、持っていた名門シリーズを並べると、同じようでどこか違う。
写真左と、真ん中が以前の名門です。
写真の右が現在の名門です。

抽出口
穴の口径
リブの長さに着目
↓現在の名門

以前の名門↓

カラーシリーズの以前の名門
↓

並べてみます。もう一度よく観察。

↓ 現在の名門 珈琲サイフォン社の現在の3代目河野社長が改良に改良を重ね開発したニュータイプ。
樹脂の素材も年々丈夫なものに変わりつつあります。
裏には 名門と、そして豆柄

↓ 以前の名門
口径はほぼ同じように見えますが、若干違います。

こちらも以前の名門↓

リブが大幅に変わりました。
昔の名門は角度が鋭角で、リブが長い
今の名門は鋭角ではあるがリブが短い


そして、同じ量のお湯を流す検証をしました。
名門と名門
リブが違いますね。

同じ量のお湯をフィルターに流したところ、

昔の名門 13秒(リブが長い)
今の名門 16秒(リブが短い)
という結果になりました。
リブの長さはろ過速度に影響すること。リブは長いほど、ペーパーとフィルターの密着部分が多く、空気が入り込みやすく、ペーパーとフィルターが密着している部分が少ないので、リブが長いほど、ろ過速度は早く落ちますね。
と仮定する通り、結果はリブの短い現在の名門が遅く。
ますます面白くなってきました。
コーノ式名門と名門の比べっこ

粉を24gセット
推奨の240cc抽出します。

本家コーノ式でゆっくりと味を引き出す抽出
まずは、昔の名門から淹れました。

時間がかかります。

最初の一滴までが長いです。

なんと1分48秒

濃厚にエキス抽出。徐々にペースアップ。


最後は早く。





抽出完了4分49秒
そして次は、現在の名門で同じように淹れます。↓


ガスの上りが早いです。


最初の一滴は58秒。早い。

そのまま同じように淹れます。


最初の一滴が早いように抽出速度もややスムーズに。


4分弱終了。
名門比べ。
昔の名門は 抽出に時間がかかり 4分49秒
現在の名門は4分弱
単に湯を流すフィルターのろ過能力検証では、昔の名門のリブが長く、ろ過速度が速い結果でしたが、今回の抽出では、現在の名門が早く抽出完了となりました。

写真左が昔
写真右が現在の名門
味も違いがでました。
濃度感もしっかりコクや少しまったりとした苦みがでたのが、昔の名門
さらりとしながらも酸がで、すっきりと口当たりまろやかな現在の名門
どちらも美味しく頂けました。
↓リブの面に着目します。

コーノ式の抽出方法では、このリブの長さを利用し、珈琲の味を引き出します。リブの長い昔の名門は、最初のガス抜きに時間がかかります。

底から除くと、穴の大きさが若干違うため、底から飛び出るペーパーの円錐の先の部分の長さが違いますね。
写真右が昔の名門
写真左が今の名門

円錐の先が長く突き出ている昔の名門、現在の名門は穴がやや小さい。
名門ひとつでかなり味のさや時間の差が出ました。
迷宮入りのようなこの意味深なコーノ式フィルターの構造。
さらに先日ピックアップした名人と並べて比較しました。

写真左 現在の名門
写真真ん中 昔の名門
写真右 名人

比べるとどんどん違いが出ますが、構造と抽出の組み合わせで抽出成分が変わり、ますます迷宮は深まります。
少し整理してみました。
比較項目 | リブ数 | リブ長さ | リブ太さ(高さ) | 穴の大きさ | ろ過速度 | 抽出速度 | 速く淹れる | コーノ式で淹れる | |
現在の名門 | 12 | 一番短い | 中間の高さ | 一番細い | 一番遅い | 中間の速さ | やや抽出不足気味 | バランス良し | |
昔の名門 | 12 | 一番長い | 一番少ない | 中間の細さ | 一番早い | 一番遅い | 抽出不足 | バランス良し深み有 | |
ドリップ名人 | 12 | 中間の長さ | 一番大 | 一番大きい | 中間の速さ | 一番早い | バランス良 | 抽出不足気味 |
構造の違い、ろ過速度と実際の抽出による速度の違い。(上記は、簡単に目で見てわかる程度の比較です。)
この違いが何ミリ違うとどうなるこうなるはさすがに検証し始めると何年かかっても終わらないと思いますが、確実に味が変わることを確認しました。自分にとってどうなのか?淹れ方との組合わせですが、抽出の勉強にもなります。
現在も開発中のコーノ式フィルター。先代から続く円錐フィルターにかける情熱がこのびびっとな違いに現れています。同じように見えますが違います。リブの長さ、高さ、太さ、穴の口径により変わる粉の層の深さ。
名門は注ぎを匠に変えられるプロ用に、名人はせっかちな人でも簡単に淹れられるように開発されています。抽出技術とともに道具を売るという信念から、一般には中々手に入りにくいものとして、一線を置かれていた抽出器具です。
金澤屋珈琲店では、思い切って、コーノ式フィルターの販売を始めました。
名門、名人の違い、過去のフィルターとの相違…中々抽出トリックが沢山ありすぎますが(^_^;)。
少なくとも、この改良に改良を重ねたコーノ式名門フィルターは、美味しく淹れやすいと感じています。
たったそれだけで。
ろ過速度が変わり、角度が鋭角になったり鈍角になったり、穴の太さ…寸分違えど、取り出せる味わいの違いに魅了されます。
名門と名門と名人

時代と共に変化し、お客様のニーズに合わせて選べるフィルターです。
先代の作りあげた名門の改良版として初心者が家庭でも美味しく珈琲が淹れられるようにと作られた「ドリップ名人」名門の角度やリブの深さを変える事で、お湯の注ぎ方が不慣れな人でも味が安定しやすいようになっています。

珈琲サイフォン社、
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